シャクトリムシと、1時間

 

埼玉県狭山市の智光山公園で珍樹ハント中、本物のシャクトリムシを発見。
日に日に暖かくなって、公園や森ではたくさんの虫が動き始めた。
 
以前、シャクトリムシに似た珍樹を見つけたことを思い出し、すぐipadでその写真の構図を確認。
よし、相似形の写真を撮ろうと、シャクトリムシを観察し始める。
 
あの愛嬌ある歩き方で、ケヤキの幹に沿って上を目指すシャクトリムシ。
時刻はもうすぐ12時。
今日のランチは、きっと幹の上部にあるみずみずしい若葉なのだろう。
ipadで珍樹の形を確認しているうちに、どんどんどんどん登ってしまう。
 
心苦しいが、足下にあった小枝を拾い、それを使ってシャクトリムシを地面へ落とす。
これも、動物虐待? ごめん。
そんなことを思いながら、何度も地面に落とし、撮影しやすい位置の幹に這わせる。
その度にシャクトリムシは、ごちそうの若葉を目指し、毎回、上へと登り始める。
 
なかなかぴったりくる相似形が撮れない。
このシャクトリムシは、他のに比べて伸縮力が強いのか、体の動きが素早くてΩの形になり過ぎ。
というより、私のカメラの腕がないのだ。
 
そういえば、なんでシャクトリムシという名前なんだ!?
前後にしか足がないから、こんなユニークな歩き方をするんだな、きっと。
撮影はとっくのとうに止め、そんなことを考えながら、上へ上へと向かうシャクトリムシを見送る。
 
小さい体が見えなくなった。
時計を見る。お腹がなった。
シャクトリムシと出会ってから、1時間以上も経っていた。