穴よりプラタナス

 

過去の写真を整理していて改めて目に留まったアーチ型のプラタナス。
並んだ2本のプラタナスの枝がお互いに手を結びあうかのように仲良くくっついている。
今から約4年前に、埼玉県にある吉見百穴の入り口で撮ったものだ。
観光客はみな吉見百穴のたくさんの横穴が開いた遺跡を前に「不思議ね〜」と言葉を漏らすが、
私には人工的な墓穴よりプラタナスのアーチのほうがよっぽど不思議に思える。
まだ、あるのだろうか。ふと気になって管理事務所へ電話をかけてみる。男の人が出た。
「ありますよ。ただ今は葉に覆われてアーチがよく見えません。
お客さんがいつでも見られるように葉を切ってほしいというのですが、落葉樹にとって夏の葉は命ですからね」
私もそう思う。アーチ型のプラタナスは、冬の風物詩でよい。